【自閉症育児】1日に費やすこだわり対応 約3時間?
人間、時間の余裕がないと心の余裕もなくなる。(持論)
親も人間、調子の良い日もあれば悪い日もある、心に余裕がある日もあればない日もある。
定型発達の親子でも自閉症児の親子でも、すぐに動ける子、ゆっくりな子、もちろん個人差があることはわかる。
しかし、定型発達の親子と自閉症児の親子は1日の子供のこだわりや癇癪の対応時間が違う、と思う。
子どもが赤ちゃんや未就学児の頃は、日常的に生きていくために必要な、いわゆる「生活動作」のほとんどに介助が必要だ。
これが、自閉症児だと、子どもがある程度の年齢になっても続く。
むしろ、生活動作の介助というよりは、そこに行き着くまでのこだわりや感触の対応時間がえぐい。
頭で考えるより体で動く、頭でわかっていても、体が動かない。
衝動性に逆らえないのだ。
まさにうちのお嬢なのだがね。
心の余裕がある、ないにしろ、そのこだわりや癇癪は突如やってくる。
そんな時に、何よりも大切なのは、子どもの心の余裕でも機嫌でもなく、「わたし」の気持ち次第で事の進み具合が変わる。
とある日のお嬢との半日の様子
以下は、ある日の夕方以降の様子
夕飯の準備など家事をスタート
本来、帰ったら手を洗ってほしいところなのだが、、。
・お嬢の謎のこだわりと抑えられない衝動的欲求が爆発 【約15分】
わたしは、この段階では「笑顔」で手を洗うように声をかける。
注:ここで、わたしのやっている家事などの作業は一旦すべて中断、お嬢に全集中
多くの定型発達のお子さんは、手を洗うように促されると、しぶしぶながらも手を洗いにいくのではないか。
しかし、うちのお嬢は無視または空返事をしながら、手を洗うどころか、お嬢の世界に意識が直行して「手を洗う」というお嬢にとって興味がない行為は一切無視。
こうなると、手を洗う数秒よりはるかに長く、数分、数十分とわたしと口論が続くこともある。
手、、、洗いにいった方がよっぽど早く好きなことができるのに、、とわたしは思うので、お嬢にもそのように伝えるのだが、「手を洗う=お嬢の好きなことが早くできる」はリンクしないらしい。
この時点で忍耐力のないわたしは、「目がわらっていない」状態。
・お嬢の謎のこだわりと抑えられない衝動的欲求爆発 【約60分】
お嬢はとにかく興味がないことには自分から動かない。
びっくりするほど動かない。
「生活動作」にまったく興味がない。
着替えや片付けも放っておくと部屋中カオスになるので、声がけが必須。
声がけをして、すぐに動けるかというとそうではないので厄介だ。
一瞬で意識が他にいくので、着替えなら着替えに集中するように、ひとつひとつの動作に声がけ。
わたし、必死に平成を装うが、「目がうつろ」状態。
お嬢の帰宅後の着替えや片付けが終わってから夕飯本格準備。
合間に掃除機や洗濯などの家事を同時進行。
・お嬢の謎のこだわりと抑えられない衝動的欲求爆発 【約30分〜60分】
宿題はお嬢の知的障害をともなうレベルに合ったものなので、始めると決して時間がかかるものではないが、始めるまでが駄々をこねる、遊ぶ、目に入ったものに意識がいく、、などで、宿題に取り組むまで、むしろ椅子に座るまでが果てしなく長い、、やっと座った!と思ったら立ち歩く。ちくしょ〜。
わたし、心で落ち着け、言ってすぐ行動できるなら苦労しない、、と思いながら、「白目剥いてる」。
・お嬢の謎のこだわりと抑えられない衝動的欲求爆発 【約30分】
食べている間も気がそれるので、食事に集中するように、こっちの世界に引き戻す声がけが必要。
また、こだわりのクッションも同席させるので、置いてくるように伝えると、お嬢はクッションが泣いている、とか、クッションに謝れ、とクッションの安否や心情について口論になることもしばしば。
食事自体も、自閉症偏食あるあるなので、こだわった食べ方をしていれば、声がけが必須。嫌いなものも少しでも食べてもらうように常に進み具合をみているわたし。
・お嬢の謎のこだわりと抑えられない衝動的欲求爆発 【約30分〜60分】
お嬢の好きなキャラクター写真召喚。
召喚した写真を使いながら、わたしが声色を変えて腹話術師顔負けにお嬢を浴室へ誘導。
「お嬢、シャワーいこうよ!」(変に甲高い声のキャラにされた召喚写真を使用中)
または、「何時になったらシャワーする?」や「シャワーと歯磨きどっちからする?」など選択肢を与えたり、わたしが疲れてきているので、あの手この手を使って早く終わらせようとする。
自分で時間を決めた場合も、時間になっても安定の無視をされるのだがね。
2歩進んだと思えば、3歩下がる、、それがお嬢。
浴室にやっと入った!と思えば、お気に入りのクッションに触りたくて出てきてしまう、を本当に普通に5回以上は繰り返される。
浴室に入ったかと思うと、ぼーーーーっとシャワーの下に立ちっぱなし、ということもあるので、適度に髪の毛を洗う、体を洗う、顔を洗う、など、ドアの前ですべきことを声がけで思い出してもらい、やっと動くお嬢。そう、つねにお嬢が気にしている必要がある。
がんばれ、わたし、あと少しだ!
上記が、とある日の様子だが、おおむね、毎日このように生活動作の場面ではお嬢にかかりっきりになる。
家事をしながらの声がけ、、なんて無視されるだけなので、まったくのエネルギーの無駄遣い。
1日のタスクを完了するための声がけとこだわり対応は約1日3時間程度ということになる。これ、、年間だと約1000時間、、、。
とにかく動かない
「この年齢なら言い聞かせればわかる」、「タイマー置いてみれば?」、「放っておけば、そのうちやる」、とか、、ネットや本でみたこと、ありがたくもアドバイスやご提案をくれた人々、自閉症育児をしているみなさまは、一般的に言われていることはみーーーーーんな、おそらく試している。
それでもびっくりするくらい、動かないのだ、叱ろうが、褒めようが、泣こうが、動かない。
動かない時は、座っている状態から立ってもらうだけでも、「はい、お尻をあげるんだよ」とかいちいち促す必要があり。これ、毎日の全ての生活動作に必要なのだ。
放っておくと、何もしないか、何か始めても夜も更ければ眠くなり、その辺で寝てしまうか、遅寝になり、次の日に影響する、という悪循環。
時間は有限
わたしの父は、あまりの孫(お嬢)の動かなさに、放っておけばそのうちやる、と言い張っていたが、13歳になった今も興味がないことにはとにかく動かないマイペースすぎるお嬢。見守る姿勢は大事だ、でも時限度がある!
そして、困ったことに、わたしはせっかちな性格で、とにかく忍耐がない、、。お嬢はそんなせっかちのわたしを見かねて降臨したのか。
育児書やネットには「3歳くらいになれば、親の言っていることが理解できて、言い聞かせることができる」と書かれているものをみたことがある。
言い聞かせるってなによ!障害児育児を舐めるな!と気持ちまで捻くれてしまう。悪循環。
時間がなくなっていくと、もともとあった心の余裕も奪われていく。
時間は有限なのだ、1日は24時間しかないのだ。
【自閉症育児】親の気持ちの持ちようで心の余裕が生まれる
人とのつきあい方で、よく言われるのは、相手を変えようとしない、自分が変われば相手も変わる。
自閉症児との生活も、わたしの気持ちの持ちようで「わたし」もお嬢も穏やかに過ごせる。
わたしの場合だが、お嬢と生活動作を進めるにあたって、意識するようにしたいことがある。
・「ながら」で声がけをしない。【家事しながら声がけしても動かないのでエネルギーの無駄遣い】
・すぐに行動に移すなんて夢物語だと認識しておく。【ある程度の時間はかかると認識する】
・疲れていたら、各々1時間くらいSNSを見たり、動画を観たりして、とりあえず自由に過ごす。
・お嬢が生活動作をしなければいけない時は、全集中でとことんつきあう。【やり始めたからと言って離れない、応援したり、見届ける(でないと、気が逸れて途中離脱の上のやり直しになるため、、)】
・時間がない時は、お嬢の好きなキャラクターに頼る。【必殺、携帯画面で好きなキャラクターの写真を出しながら腹話術のように語って、お嬢のテンション上げて誘導大作戦】
・お嬢が怒っても、同じように怒らない。まともに怒りを受け取らない。【短気だからむずかしい、、でも怒り返して良いことなし!】
お嬢でも、周りでもなく、わたしの気持ちが穏やかでいられることが家庭平和に繋がるのだ。
想像ができる家族、先生、支援員の人々に出会う幸せ
例えば、生後間もない赤ちゃんや小さな子どもを育てている母親に、会社から帰宅した夫が言ったとする。
「1日家に居たんだから時間あったでしょ。」
想像してくれ、1日家で何をしていたと思うか。「育児」してたの。何度片付けても散らかる部屋、細切れ睡眠で、子供が寝ている間に掃除や洗濯や料理をして、、って、普通に余裕ないよねって。
残念ながら、一緒に生活する家族でも育児がどれほど孤独で大変か想像できない人がいる。
自閉症のお嬢は、今は見た目は大きな子ども、中身はまだまだ手のかかる幼さが残る子どもなのだ。
わたしは疲弊しまくってる時に、これまで家族、学校や習い事の先生、支援員に言われて悔しかったことを忘れることができない。
「騒がしいので、他の子のストレスになる。」
「何か問題を起こしたら、辞めてもらいます。」
「ここでは、お嬢のサポートはむずかしいです。」
「家でもっと宿題をやってきてほしい。」
否定されたり、除外されたり、家庭でさらにタスクを与えようとする先生がいると胃が痛くなるし、悔しさで張り裂けそうになる。
また、言われて嬉しかったことも覚えている。
「お嬢は学校で誰よりも頑張っているから、家ではゆっくり休ませてあげてください。」
「お母さんは、すごく忍耐があります。」(ないんだけどね、、)
「お嬢と出会ったことで、子どもの可能性の大きさを知り、支援員の道を目指すことにしました。」
と言ってくれた先生もいた。この先生は本当に普通学校から支援学校の教員になった。
お嬢を信じて、真剣に向き合ってサポートをしようという人間が自分以外にいると、味方ができたような気持ちになる。
お嬢についてのちょっとしたコメントや先生からの呼び出しに、わたしの気持ちが一喜一憂する時期もあった。
自閉症児本人、親が努力をすることはもちろんだ。
そこに、家族、先生、支援に関わる人々が、自閉症育児親子がこだわりと癇癪の対応に毎日どれだけの時間と労力を費やしているかということ、周囲からの指摘で親子のハードルが上がり、親はナックルパンチを食らったような気持ちになっていることを、すこーーーーしだけ想像していただけると、親子の気持ちが救われる。
この想像するって、家族でもむずかしい場合がある。
同じ家にいても、関わる時間が違ったり、みえないことがあるのだ。
少しでも意識をして、少しでも想像することができたら、世界はきっと変わる。
見守りの体制に入れるように
現在はお嬢には、やることリストにタスクが完了するとチェックを入れてもらうようにしている。
4歳から幾度となく、「絵カード」や「TO DO LIST」的なものを実践してきた。
多くの自閉症児に「絵カード」等の「やることリスト」的なものは効果的なのかもしれないが、うちのお嬢にはイマイチだった。何度も失敗して、絵カードなども何度も外されおもちゃにされた。それでも、以前のお嬢と比べて、今ならできるのではないか、と思って気まぐれな不定期開催で実施している。
無理はしない、頑張りすぎない、わたしの心の安定のために。
適度な声がけは今後もまだ必要だが、お嬢も13歳。
「見守り」に入る前段階として、これまでよりも長くお嬢自身に「時間」を与えてみている。
この「見守り」って誰が大変って、わたしが本当に大変。口に出したくて、声がけしたくて、うずうずうずうずするところを、ぐーーーーーーーーーーっと我慢をする。
お嬢の試練というか、もはやわたしの試練。「見守る」ってむずかしい。
いずれは本当に見守らなければならない時期がくるのだろう。そして、その「見守り」は1人ではなく、家族、友人、先生、地域でできたら、こんな心強いことはない。
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