自閉症のお嬢と草間彌生のインフィニティミラールームに行ってみた

2023年12月にお嬢とわたしはロンドンのテートモダンへ訪れた。

目的は、日本人アーティスト、草間彌生の「インフィニティミラールーム」のエキシビションに行くためだ。前々から予約をしていたが、予約開始日から、すぐに予約が埋まってしまう人気エキシビションだ。

テートモダンからの景色
目次

【草間彌生】エキシビションの様子と自閉症のお嬢の様子

予約時間が決まっているためか、エキシビションの会場の中には並ぶことなく入ることができた。

そして、中には写真等で草間彌生の紹介や作品の案内があった後に、メインのミラールームが2つある。

そこは、並ぶ。

お嬢とわたしの前には5、6組が並んでいた。外からは中の様子はわからない。

発達障害、自閉症の方の苦手なこと、得意なことは個々で異なるが、ここでの注意点は以下の点かと思う。

部屋へ入るには多少並ぶ
外から見えない部屋に入るため、中に何があるかわからない、という不安感を伴う
全体的にエキシビジョン会場は暗め
・光が点滅している
・手を触れてはいけない

お嬢とわたしは最初にシャンデリアのミラールームに7、8分ほど並んだ。

わたしたちの順番がきて中に入ろうとしたところで、お嬢が言った。

「怖い、わたし入りたくない、、」

事前に説明しておいたキラキラした空間であること、わたしが一緒だから大丈夫なこと、を伝えると、すんなり一緒に入ることができた。

お嬢は本当に恐怖を感じている場合、泣いて叫んで意地でも入ろうとしないので、本気で嫌がっているわけではないようだ。

中に入る前に、ミラーには手を触れないように注意書がされているので、お嬢にもわたしから改めて手を触れないように伝える。

数組づつ中に入るシステムで、お嬢とわたしの他は3名1組のグループと入った。中は、シャンデリアがくるくる動いて光の色を変えた無限大の世界観。まさにインフィニティ。

お嬢と手を繋いでゆっくり歩いて周りを見渡した。

お嬢は平気なようだ。むしろ、発達障害や自閉症の方やその家族が落ち着くために利用するセンサリールームのようだった。

2つ目のルームも同じく、10分弱ほど並び、順番が回ってきた。

中に居られる時間はどのくらいかとスタッフの方に聞くと、「2分」とのこと。

そしてロスアンゼルスでの同じエキシビジョンでは、なんとたったの「30秒」しかないという事を教えてくれた。それはまさに、、ウォークスルーで終わる、、。

2つ目の部屋は無数のLEDライトが鏡張りの部屋に張り巡らせており、点滅して数秒毎にその色を変える幻想的な世界となっていた。

フロアのラインを見ないと進む方向がわからないことが、お嬢を少し不安にさせたが、手を繋いで笑顔でその空間を過ごすことができた。

エキシビションの感想と障害受容について

今回はお嬢をエキシビジョンに連れて行ける、と判断した上で連れて行ったが、数年前だと失敗するか、会場で揉めていたと思う。これまでの多くの経験と事前説明でスムーズに過ごせた。事前説明については、何度伝えてもどの程度伝わっているかわからない。もう少し幼いと何も伝わっていなかったかもしれないが、ゆっくりでも少し理解ができてきているように思う。

閉所恐怖症、暗闇が苦手な方には向かないかもしれない。

草間彌生は、精神疾患をお持ちだと、何かの記事で読んだ。

彼女は、自身の精神疾患を治したくない、芸術を作成する力として、それらを使用したい、と仰っていると知った。また別の記事でも彼女の病がこの芸術を作り上げている、と紹介されていた。(何で読んだか思い出せず、申し訳ありません)

とても印象に残った。

わたしがブログを書こうと思ったのも、お嬢の障害ゆえに親子で怒ったり怒られたり、泣いたり、笑ったり、障害が不便で困ったこと、だけにしたくない、と思ったことが理由の一つにある。

少なくとも、このお嬢の障害は当人ではないわたしに多くの気づきを与え教えてくれている。

お嬢は毎日笑っているし、困っていることも困ったように思っていないようだし、年齢相応のことができていなくても気にしていない、(むしろ気づいていない)お嬢は基本ハッピーだ。知的障害も伴うお嬢は、むしろ自分に障害があることに気づいていない可能性が高いし、治したいなどと考えたこともないだろう。

お嬢の障害が治ったらいいな、と長く思い続けたのは少し前までの「わたし」だ。

お嬢の振る舞いはいつも自身を肯定している。

何年も「きつい」「辛い」と思ってきたのは「わたし」だが、今は心からこの特性が治ってほしい、というより、これがお嬢だ、と思えている。

少し「障害の受容」がわかった気がする。(完全に受け入れた、と言えないところがあるのが悲しいが、、)

わたしは、本やネットで検索魔になっていた頃には、本当に他の人より障害受容が全然できない、と思っていたが、ここ最近はゆっくりではあるが「目にみえない障害も含めて受け入れる」ことがわかってきた気がしている。(おそらく遅い、、)

最後にエキシビジョンを出てすぐのドアの横にはこんな案内がある。

ギャラリーやエキシビジョン、テートモダン内の環境から離れて静かな場所で落ち着いたりすることが必要な方とその同行者が過ごせる「Quiet room」(静かな部屋)が用意されてるということ。

メンタルヘルス等の精神疾患のサポートに役立つサービス機関の案内があった。

インフィニティミラールームは2024年4月28日まで開催されている。

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